原爆投下から75年

今年は原爆投下から75年目という節目の年なので、英語の記事も例年より多いようです。いくらか紹介します。

Nine Eyewitness Accounts of the Bombings of Hiroshima and Nagasaki (Smithsonian Magazine)
この記事の中で広島と長崎の被爆者9人がその日に見た光景を語っています。
被爆者は”hibakusha”とそのままローマ字で使用されています。説明として”the Japanese word for those affected by the August 1945 attacks”と書かれています。

この記事を読んで知らなかったことがありました。

Sometime before the bombing of Nagasaki, 11-year-old Sachiko Matsuo’s father happened upon a leaflet dropped by American pilots to warn the city’s residents of an imminent attack.

事前に警告のビラが撒かれていたのですね。気になったので、ハイパーリンクが張ってあった元記事の”leaflet”をクリックしてみました。

すると”The Leaflets Dropped Before the Hiroshima Atomic Bomb“というタイトルの別サイト(Hyperallergic)の別記事に飛びました。

記事によると、アメリカ軍は広島と長崎だけでなく、爆撃の前に様々な都市に爆撃を予告する都市を記したビラをばら撒いていました。ただ、広島と長崎の名前はなかったようです。

また、記事にはこうも書かれてありました。

Daugherty makes clear that the leaflets were successful in one aspect: they managed to scare the citizens, not save them.

市民を助けるというよりも怯えさせるという効果があったようです。避難しようとすることで軍需工場が止まり、非戦闘民の動きが軍と一体化することで地域社会の構造の弱体化へとつながりました。

人道主義の面でビラを配布したのかと思ったのですが、全然違っていました(そういう一面もあったのかもしれません)。

この記事ではビラに広島と長崎の名前はなく、”…the humanitarian pretense was dropped entirely. “「人道主義のふりをするのを完全にやめた」と最後の方に書いています。Smithsonian Magazineの記事に出てきたサチコさんのお父さんはビラを手にしたので間に合わせの小屋を作り家族を避難させたのですが、そのビラには長崎の文字があったのでしょうか。

 

他の記事です。
Hiroshima after 75 years: Walking the path of the atomic bomb
こちらはCNNです。関心を惹かれたところだけ紹介します。

Enola GayはSmithsonian Air and Space Museumの別館であるSteven F. Udvar-Hazy Centerに展示されています。”The ‘Enola Gay has been a controversial object, for the Smithsonian and for the country,’ Kinney says.”「エノラ・ゲイはスミソニアン博物館にとって、そしてアメリカにとって議論の的となってきました。」と博物館のキュレーターであるKinneyさんは言っています。けれどもこういう事実があります。

What visitors won’t get at the Smithsonian Enola Gay exhibit is a complete story of the bombing of Hiroshima. There are no artifacts from Hiroshima, no discussions of bomb victims or whether the use of atomic weapons was necessary.
Plans to include such content in the Enola Gay exhibit were scrapped in 1995, when, under pressure from US veterans’ groups, then-Smithsonian Secretary I. Michael Heyman said it would not include analysis, but only commemorate and honor the sacrifice of US war veterans.
To this day, the museum’s webpage on Enola Gay doesn’t mention the death toll in Hiroshima.

大まかにまとめると次のようになります。「エノラ・ゲイの展示には広島の遺産や犠牲者、原爆の必要性等の解説が全くありません。1995年にそのような展示をする計画がったのですが、退役軍人の会によって破棄されてしまいました。今日に至るまで、博物館のエノラ・ゲイのウェブページには広島の死者数を言及していません。」

被爆国である日本国民としてエノラ・ゲイの横に原爆とその悲惨さについて言及する展示がなされることを切に希望します。

ただそんなSmithsonian Museumもウェブ雑誌であるSmithsonian Magazineには最初に紹介した記事のように原爆について書いているのは興味深い事実です(ただし、Enola Gayという文字は出てきませんが)。Enola Gayに関してはこちら”The Indelible Enola Gay – The aircraft that dropped the first atomic bomb will always inspire debate“で特集しています。

 

BBCでは次の記事があります。
Hiroshima and Nagasaki: Women survivors of the atomic bombs
この他にもラジオやテレビで原爆関連の番組が放送されます。放送後ウェブで見たり聴いたりできるようですので、またチェックする予定です。

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