引き算の難しさ(ついでに英文記事を利用しての授業を一部紹介)

アメリカ

と言っても算数や数学の話ではありません。問題解決における話です。

2021年5月9日付日本経済新聞朝刊に『現代人は「引き算」が苦手』というサイエンス記事が掲載されていました。

人は問題を解決する際に引き算ではなく足し算でやろうとしてしまうという、バージニア大学の研究チームがNatureに発表した論文を元にした記事です。

実は1ヶ月前に同様の記事をScientific Americanで読んでいました。その記事がこちらになります。

Our Brain Typically Overlooks This Brilliant Problem-Solving Strategy

この記事を利用して問題も作っています。英語が難しいので受験生用にはなりますが。

そこから1題紹介します。一見すると簡単そうに見える最後の文を日本語に直してみましょう。その前のパラグラフは語彙のヒントとして載せました。

For generations, the standard way to learn how to ride a bicycle was with training wheels or a tricycle. But in recent years, many parents have opted to train their kids with balance bikes, pedalless two-wheelers that enable children to develop the coordination needed for bicycling―a skill that is not as easily acquired with an extra set of wheels.

Given the benefits of balance bikes, why did it take so long for them to replace training wheels?

まずは語彙から確認しましょう。training wheelsはわかったでしょうか。パラグラフの最後に”an extra set of wheels”とありますが、英語ではこのような言い換えがよくあります。そのような言い換えに気づくことができれば英文を読むのがらくになります。直訳すると前者は「訓練用の車輪」、後者は「追加の車輪」。そうです「補助輪」です。

tricycleはtri-という接頭辞を知っていたら推測できるでしょう。triangleから想像できるようにtri-は「3」を表しています。cycleは「周期、一回り」という意味ですが、元々ギリシャ語で「円、輪」を表していました。もうおわかりですね。tricycleは「三輪車」です。

ついでにbicycleのbi-ですが、これはbilingualという言葉からもわかるように「2」を表しています。

でしたら「一輪車」は英語で何と言うかご存知ですか。答えはunicycleです。uni-が「1」を表しています。動詞uniteは1つにするから「一体にする、合体させる、団結させる」という意味なわけです。the United State「合衆国」やthe United Nations「国連」でもuniteという単語が用いられています。

opt to doは「~する方を選ぶ」です。ちょっと難しい単語ですので入試問題で出たとしてもも注釈が付いているでしょう。

“balance bikes, petalless two-wheeler that …”は英文を読む際に知っておいたほうが良い表現方法です。英文ではこのようなA,Bという表現で「Aつまり(言い換えると、わかりやすく言うと)B」となります。ですのでAの内容がわからなくてもBがわかれば大丈夫なわけです。生徒にもよく言っているのですが、英文を読む際にはわからない単語があっても先を読んで考えることが大事です。

“pedalless two-wheeler that enable children to develop the coordination…”では2箇所に注意しましょう。thatは関係代名詞の主格です。enableは”enable+O+do do~”で「人が~するのを可能にする」ですが、無生物主語構文になっていますので「(主語)のおかげでOは~することができる」と訳しましょう。

coordinationは「(筋肉運動の)協調、整合」です。acquireは「身につける」です。

ついでなのでここまでも和訳してみましょう。
「何世代にも渡って、自転車の乗り方を覚える一般的な方法は補助輪付きの自転車もしくは三輪車に乗ることでした。しかし最近では、多くの親がバランスバイク、別の言い方をすればペダルのない自転車で子どもたちを練習することを選んでいます。バランスバイクを利用することで、子どもたちは自転車に乗るのに必要な筋肉運動の協調、補助輪では簡単には身につかない技術を伸ばすことができます。」

ようやく本題の和訳です。最大のポイントはGivenです。難関大学を目指している人ならわかるでしょうが、これは「~を考慮すると」という意味です。

後半のtakeはit+take(s)+時間+for+人+to do~という構文で、「人が~するのに時間がかかる」です。

代名詞themは何を指しているでしょうか。今回は人ではなくbalance bikesです。

和訳しましょう。
「バランスバイク[ペダル無し自転車]の利点を考慮すると、それらが補助輪に取って代わるのに何故これほどの時間がかかってしまったのでしょうか。」となります。

きちんと訳せたでしょうか。受験生ならできてもらいたいです。

当塾の英文解釈の授業も上記のような感じでやっています。文法や語彙の解説だけでなく英文を読む際のヒントや注意点も説明しています。興味のある方は是非お越しください。

上記の記事は面白いので一読することをオススメします。無駄を省いて効率を高めることを心がけたいですね。

引き算というと、当塾の単語や文法の小テストでは引き算を利用して生徒一人ひとりに合ったテストを作成しています。ある範囲内のテストをした後、2周目は間違えた問題のみでテストを作成します。そうすることで効率良く単語や文法を確認できます。単語帳は『システム英単語』、『LEAP』、『Database4500』、文法問題集は『Vintage』、『Next Stage』、『Bright Stage』に対応しています。こちらも興味ある人は是非お越しください。

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