意味の分からない単語や表現は前後関係から推測

アメリカ

メールマガジンを購読しているSmithsonian Magazineに次の記事が紹介されていました。

Five Places to See Trilobites in the United States

Trilobiteとは三葉虫のことです(tri-が3を表す言葉。ex. triangle, tricycle, trilingual, etc.)。興味があるので元記事を読んでみました。そして気になる表現を見つけたのですが、前後関係からその意味を推測してみてください。

Andy Secher remembers the first time he came face to face with a fossil. He was seven years old and riding the school bus when the bus driver showed him and the other students a specimen that he had unearthed during a weekend dig in Upstate New York.

“I was fascinated,” Secher says. “And after that, I was kind of hooked.”

Hooked is an understatement. Fast forward to adulthood and Secher has amassed a personal collection of some 5,000 fossils, which he houses inside his 1,650-square-foot Manhattan apartment.

ここで出てくる”hooked”とはどういう意味でしょう。

「7歳の時にスクールバスに乗っていたら、標本(specimen)を運転手に見せられて、『私は魅了された。そしてそれ以降少しhooked。』hookedは控えめな表現である。Secherは153平方メートルのマンションにおよそ5,000の化石を収集している。」

以上が簡単な意味です。「化石を見る→hooked→多量の化石収集」と来ているところから考えるともうおわかりでしょう。そうです、「ハマって、夢中になって」という意味です。

次はこちらの表現です。

More recently, Secher added another bullet point to his résumé with the release of his book Travels with Trilobites: Adventures in the Paleozoic

bulletは「弾丸」、résuméは「履歴書」です。「本の出版で履歴書にもう一つ弾丸の点を追加した」というのが直訳です。bullet pointとは何のことでしょう。実は英語圏の履歴書がどのようなものかわかっていたらこの表現がすぐに理解できます。

まずは履歴書のサンプルを見てみましょう。こちらはResume 2021 and 2022 | Modern CV Templates – Freeに掲載されていたものです。

リストの「・」が見られると思います。自分の強みや経歴をリスト化して表しています。この「・」がbullet pointです。「弾丸の点」とは言い得て妙ですね。ですので「本の出版で履歴書に項目を一つ追加した」という意味になります。

もう一つ別の表現です。

“I geared my book for the layman and not for experts,” Secher says. “When writing it, I looked to [the late chef and documentarian] Anthony Bourdain, who centered his own writings not just on food, but on the places he visited and the people he met. I took the same approach here.”

一文目のgearとlaymanとは何でしょう。難しい単語に遭遇するとそこで思考が止まってしまうという生徒がいますが、あまり深く考えずに流れで考えるといいという例です。”for the layman and not for experts”は「専門家ではなくlaymanのために」とありますので、laymanはexpertsの逆であろうと推測できます。専門家の逆は「素人」ですね。

「私はそれを書いているときAnthony Bourdainを参考にした。彼は自分の著作でただ食べ物だけでなく、彼が訪れた場所や会った人にも焦点をあてていた。私は同じアプローチを取った。」全部訳す必要はなかったのですが、重要なのは最初の「それを書いているとき」です。そこから前文に遡りましょう。「私は自分の本を専門家ではなく素人のためにgearした。」しっくり来る訳は「書いた」でしょうね。意味を取るにはそれで十分です。辞書をひくと「~を適合させる、向ける」とあります(一般的には受け身で使われことが多いです)。今回の場合は「~を向けに書いた」の意味です。

このようにわからない表現に出くわしても前後関係から意味を推測して英文を読み進める習慣を身につけると、よく速くより多くの英文を読めるようになるでしょう。

で、何故この記事が気になったのかというと私も化石が好きだからです。タイトル「アメリカで三葉虫を見るべき5箇所」に惹かれたのですが、そのうちの一箇所は私が訪れたことのある場所でした。それがU-Dig Fossils (Delta, Utah)です。非常に遠かったですが、面白い体験ができました。ここでは自分で三葉虫の化石を発掘して持って帰ることができます。

こちらがその石です。

うまく割ると化石が出てきます。

化石の跡もキレイに残っています。そのためこの石は持ち帰りました。

ここへ行くには日本からのツアーなどありませんので、自力で行く必要があります。ある程度英語が理解できれば全て自分で手配して行くことが可能です。生徒たちにはそれくらいの英語力は身につけてもらいたいと思いながら指導をしています。

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